「NPO法人四条京町家」の設立
2009年7月頃、私たちに伝わってきたのは、四条京町家が京都市伝統産業振興館としての営業を、2010年3月末をもって終了するというニュースだった。四条京町家は、2002年から京都市が個人所有者から借りて、伝統文化や伝統産業などの情報発信基地として活用されてきた。京都市は財政難を理由に、今回契約の更新を見送った。
2010年4月から四条京町家はどうなるか、多くの人たちの関心事だった。この町家には、多くの観光客が訪れ、イベントごとに人々の縁を生み、これを取り巻く人々は数知れないものとなっていた。これまでに多くの市民団体が伝統文化の発信拠点として活用されてきたこの町家は、個人の所有物ではあるものの、もはやその枠を越えた「公共空間」となっていた。
しかし、この町家は貸会場として機能しながらも、利用者間および団体間の横の連携が図られることはこれまでになかった。この町家を大切に思い、愛してきた人たちの思いが共有、集約される機会はなかった。
せっかく、似たテーマ性を持ち、同じ場所を拠点に活動しているのだから、そんなひとたちのコンテンツやエネルギーは、集約できる部分があるはず。それは、これまでの個別の活動の延長ではなく、新しい「公共空間」を生み出す原動力になるに違いない、と信じていた。
そこで、この町家を取り巻く人たちの思いを共有し、これからのことを語り合う場を設けたのが2009年9月のこと。
それから数ヶ月にわたってミーティングを重ね、思いを共有できる人たちと新しい事業体をつくりあげるに至った。
市民主体で、伝統文化の情報発信拠点として「公共空間」を管理、運営していく試み。
2010年5月7日に、「特定非営利活動法人四条京町家」の設立が認証された。
まだまだ、課題は山積しているが、もう進むしかない。