心に響くもの
エンドロールが終わっても鳴り止まない拍手に、「最高の最終日ですな」という言葉とともに彼は再び現れた。そして、最後の曲を、一言一言確かめるように、丁寧に歌い上げた。
その歌声を、浴びるように、全身で受け止める。今、そこにいる彼の歌声は、僕らの中にあるものと共鳴し、僕らの心を大きく震わせた。
僕らは、その言葉を、かみ締めるように生きているのかもしれない。彼の伝えたいことは、歌を通して、僕らの心の中に根付いているようだ。その言葉たちは、リズムや旋律と一体になって、僕らの身体的感覚として強く記憶されている。僕らの中に何年もかけて育んできた感性は、この時、めいいっぱいの輝きを見せる。一瞬も陰ることなく。
そんな時間は、いつまでも続くわけではない。
「また会おうぜ!」と言葉を残して、彼はステージを降りていった。感動的な夜だった。
さあ、リアルな現実に戻っていくのだ。
「明日は何が待ってるんだろう。」