2009年2月17日

10年のカタチ ―論文雑感2―

僕がものづくり塾で活動に参加し始めたのは、1999年3月。つまり、今月でちょうど10年の節目を迎える。

僕のNPOとしての活動は、Webを通した「縁づくり」そのものといってもいいかもしれない。まだ、NPOがホームページを持つことが珍しかった頃から、ものづくり塾の活動をホームページで積極的に情報発信し続けた。その結果、職人さんやNPOの方々はもちろん、学生さん、起業家の方や大学の先生まで、僕の会社生活では決して得られない様々な縁を得ることができた。僕の活動は、Webなしでは考えられなかった。

10年の間に、NPOのあり方は少しずつ成熟してきた。ネット環境は、ただのホームページから「Web2.0」時代を経て、「クラウド化」へと進化し続けている。そして、それらを取り巻く現実社会は、消費社会の限界を露わにし始めた。

僕らを取り巻く環境は変わり続ける中で、僕のやりたいことは、一貫して社会になにかを伝えることだった。ただの独り言ではなく。だから、ブログミーツだった。社会に対して、一人一人の市民がなにかを伝えることで、社会を動かそうとするブログミーツのコンセプトは、僕にWebの使い方を提言してくれていた。

だからこそ、論文にしたいと思った。この論文は、僕のこの10年のひとつのカタチなのかもしれない。

2009年2月16日

「あき らめる」 ―論文雑感1―

先月、なんとか論文を書き上げた。
最初の感想は、1年間かかって、自分が書いてきたことの結論はこんなものだったのか、という脱力感のような感触だった。

各方面からの誘惑を断ち、休みの日は図書館にこもり、テーマのことばかりを考えて憂鬱な気分になり、睡魔に耐え、過ごしてきたこの1年間の成果は30,000字あまりの、このテキストだった。

でも、自分にできることは、はじめからこの程度のことだった、と思えば気も楽になってきた。1年前の自分は、自分にもっと良いものが書けるような過度の期待を持っていたのかもしれない。その幻想がはっきり見えただけのことなのだろう。

「あきらめる」という言葉は、ネガティブな響きの言葉として捉えられているが、もともとは仏教用語で「明らかになる」という意味らしい。時を経るにつれて、いろいろなことが明らかになってくる。自ずと自分の限界も見えてくる。それで、身の丈にあった活動をしていくことができるのでしょう。