2006年11月26日

奥三河の花祭


11/22~11/23に愛知県東部の奥三河、月地区の花祭を観に行ってきた。私の訪れた東栄町は、豊川ICから1時間半も車を走らせた山奥。まさに山あいの集落だ。
奥三河では、30近くある地区が11月から1月ごろのひと晩、花祭を催す。花祭では、4歳程度の子供から老年まで、様々な世代の人が交代で1回45分もある踊りを奉納し、無病息災、五穀豊穣を願う。日中から始まる踊りは夜を徹して行われ、翌日の夕方まで続けられる。なんと気の長い祭りだ。
この風習は、700年程度前から始まったものと言われる。こうした山あいの集落だからこそ、これまで続けてこられたのだろう。
しかし、ある集落では、今年「花祭を催すことができなくなった」と地域の人は言う。もちろん、過疎による担い手の減少が原因だ。ここでも、蝕まれる思いがした。「この祭りもなくなっていく」と気丈にも話す彼の思いはいかばかりか。
祭りを通して地域の人が集い、伝統工芸の技術が継承され、文化が伝えられていく。その連鎖を止めずに生かす術を打たねば。

2006年11月18日

「私の仕事観・仕事の魅力を語る」

東山青少年活動センターとヤングジョブスポットの共催事業「私の仕事観・仕事の魅力を語る」で、今年もものづくり塾がコーディネータ役を務めさせていただいている。今年で5年目になる。
今回は、いつもの「伝統産業」というテーマを広げ、先端産業などの産業で仕事をしている人の思いを伺うこととなった。その第1回目として、ゲストにオムロン株式会社の方を招き、その仕事に携わるに至った経緯、会社を選んだときの思いなどを語っていただいた。彼は、「会社探しは友達探し」と人間関係の重要性を説いた。仕事で課題にぶつかるとき、喜びを共有するとき、そこには必ず同僚がいる。共通の目的に向かって走る仲間を選ぶことであるという。そんなふうに会社を選ぶことで、充実した会社生活を送れると。
また、参加者からは、就職活動の中でぶつかる悩みや、仕事観に関する議論がなされた。「技術を持たない文系の学生はどうやって仕事を探していけばいいのか?」などという疑問に、ゲストだけでなく、他の参加者からもさまざまな観点からアドバイスをすることができた。
参加者はそう多くなかったが、ゲストが一方的に話すのではなく、参加者同士で意見の交換ができたことで、みなが充実した思いで今日のセミナを終えることができた。

2006年11月12日

西陣の現在2006「西陣の現状をじっくり見つめる」


「伝統技術は、『伝えていく』ものではなく、『伝わっていく』ものなのです」
11/11(土)、元西陣小学校にて、西陣円卓会議を実施しました。これは、その参加者が、ある職人の方から聞いた言葉です。必要があるから、職人はものづくりをするし、その中で、プロダクトを通して、技術が伝わっていく。「伝わっていかないものは、世の中から必要とされていないということ」と自らを戒めるようにその職人の方は話しておられたそうです。「その技術が必要とされるようになれば、その時の人がプロダクトを分解して、技術を解析するだろう。だから、私は残るプロダクトをつくる」という言葉は、職人魂を感じずにはいられなかった。

伝統技術の継承が課題視されるなか、少し寂しい印象も受けたが、それが社会の実態なのかもしれない。
しかし、プロダクトを見ても、知り得ないことも多々あるし、そのディテールにこそ大事な要素が潜んでいることも少なくない。それを残していく術はどこにあるのか。

自分でものづくりをされている参加者の方は、「自分のプロダクトとその生産プロセスを包含する『文化』を残したいという欲求が誰しもあるのではないか。」と疑問を投げかける。その思いは、今の職人の方にはどう形にしておられるのか。金銭的にも厳しく、現状の産業の形態では、その誇りが醸成されにくい環境であることなどが指摘された。今後、これらの課題をクリアしていくことはできるか。次回までに、じっくり考えていきたい。

2006年11月5日

地域で支えるお寺


本日(11/5)まで約1週間あまり、自宅から程近いところにある立本寺が初の一般公開をしていた。
市の登録文化財となったことで、一般市民の方にも広く拝観してもらおうという趣旨だ。
立本寺には、幼少の頃からそばの公園へ遊びに行ったものだ。今どき珍しく、子供の声が絶えない元気な公園。お寺はこれまで、一般拝観は行っておらず、私たちにとっても、近くて遠い存在(?!)。
その立本寺を拝観できるとあり、先週訪れた。受付や境内のガイドは、地域の方のボランティアとのこと。近隣の方々がこのお寺の案内をしてくださる。「私は京都検定も受けてましてね...」という京都好きの方がご案内してくださるのは、とても心強い。このように、お寺が地域の人と関わりながら新しい文人を迎え入れてくれることは、本当に嬉しいことだ。