京都のものづくりの源流へ
京都文化博物館で行われている「近世 都の工芸展」を鑑てきた。そこには、京都のものづくりの源流をたどり、現在に至るまでの美意識の発展の変遷を伝えていた。
江戸時代(17世紀)に描かれたという「職人尽絵」は、当時各工房で職人達がものづくりに励む様子が生き生きと表現していた。扇子をつくる「扇師」、神棚や桶などをつくる「檜物師」から、「革師」、「機織り師」などなど、当時のものづくりの幅広さをうかがわせる。
その頃に製作されたと思われる漆器や陶器、織物などからは、その頃の職人達の息づかいが聞こえてくるようだ。江戸時代に製作されたという漆器は今も美しく黒い輝きを放っていた。数百年にも伝わるものづくり、想像を絶する。琳派の出現が、当時の職人達の美意識を変えたことを伝える。展覧会を鑑賞しに来る方達の中には、職人の方らしき姿もちらほら。彼らはこうして、後世に伝わる「ほんまもん」を観て、次の制作に生かすことだろう。
そして、最後に展示されていたのは、祇園祭長刀鉾の飾り金具だ。職人達の美意識は、今も京都の町を艶やかに飾る。今も職人達の技、心意気は町の中に生きている。