2007年3月29日

京都のものづくりの源流へ


京都文化博物館で行われている「近世 都の工芸展」を鑑てきた。そこには、京都のものづくりの源流をたどり、現在に至るまでの美意識の発展の変遷を伝えていた。

江戸時代(17世紀)に描かれたという「職人尽絵」は、当時各工房で職人達がものづくりに励む様子が生き生きと表現していた。扇子をつくる「扇師」、神棚や桶などをつくる「檜物師」から、「革師」、「機織り師」などなど、当時のものづくりの幅広さをうかがわせる。

その頃に製作されたと思われる漆器や陶器、織物などからは、その頃の職人達の息づかいが聞こえてくるようだ。江戸時代に製作されたという漆器は今も美しく黒い輝きを放っていた。数百年にも伝わるものづくり、想像を絶する。琳派の出現が、当時の職人達の美意識を変えたことを伝える。展覧会を鑑賞しに来る方達の中には、職人の方らしき姿もちらほら。彼らはこうして、後世に伝わる「ほんまもん」を観て、次の制作に生かすことだろう。

そして、最後に展示されていたのは、祇園祭長刀鉾の飾り金具だ。職人達の美意識は、今も京都の町を艶やかに飾る。今も職人達の技、心意気は町の中に生きている。


2007年3月11日

「全身全霊」を込めて

京都造形芸術大学の学生チーム「和太鼓 悳(しん)」の卒業公演を観賞してきた。先日、大文字ボランティアの懇親会で、このチームの学生くんたちと話し、今日の公演を鑑賞することを約束したのであった。

「自分でいうのもなんですが、すごいです。」という彼らの言葉のとおり、いや、それ以上の圧巻のステージだった。50名余りの部員が入れ替わり立ち替わり、リズミカルに、そして息ぴったりに、次々に楽曲をこなす。自然と拍手がわき起こる。
そして、本当に、ステージに立つ彼らは、ひとりひとりが「いい顔」をしていた。それ以外の言葉は見つからない。全力で取り組む彼らの充実感と喜びは笑顔に表れていた。太鼓の鼓動と一緒に、彼らの充実した思いが私たちに響いてきた。

「全身全霊で取り組んできた」と最後の挨拶。「全身全霊」を込めて、ひとを感動させられる仕事ができたことは、彼らにとって貴重な財産になるだろう。
私もこの春、新しいステージへ駒を進める。気持ち新たに、「全身全霊」をかけよう。

2007年3月4日

西陣の宝

昨日(3/3)から、元西陣小学校で、郷土資料展が始まった。
明治二年の西陣小学校開校以来の歩みを振り返り、西陣の現状を支える方々の作品を展示する。また、お茶席も用意し、語らいの場も提供する。

明治期には、西陣校は「文織(ぶんしょく)校」という名称の時期もあったとか。「文様を織る」ことと「文を学ぶ(学業を修める)」ことへの思いが込められているという。当時の西陣の心意気はこんなところにも込められている。

いつもの会議室には、手機の織機と新鋭の織作品が展示され、訪れる人たちの感嘆を誘う。古くから西陣を知る重鎮から、新しく西陣に移り住んできたであろう若夫婦まで。様々な人が行き交い、西陣の職人たちがこの町で重ねてきた営みに思いを馳せる。

会場のあちこちで、まちづくりでお世話になっている方々に出会う。地域の人たちが一体となって、この企画を運営しているのがよくわかる。この企画を始めようという熱意、そして運営する力は、この町にとっての宝だ。彼らとの縁を、心から誇りに思う。