山鉾巡行は美しい
祇園祭の懸装品は、美しい。
職人が技術の粋を集め、自らの誇りをかけた作品は圧倒的な存在感を放つ。日本人の美の感性と祈りを凝縮した伝統の文様は、私たちの心の奥にある感性を呼び覚ます。
祇園祭の山鉾は、さらに美しい。
ご神体が乗り、人々が見守るその姿は、町の守り神そのものであることがよくわかる。山鉾に飾られた懸装品は、さらにその輝きを増し、山鉾を生き生きと映えさせる。
また、祇園祭のお囃子も、美しい。
鉦と笛と太鼓の音はただの音楽ではなく、私たちの心の奥まで届く何かを秘めている。私たちの気持ちを高揚させ、まさしく私たちを「囃し」立てる。
そして、山鉾巡行は、もっとも美しい。
懸装品に飾られた山鉾に町内の方々の乗り、お囃子を奏でる。そして、私たちが人力で曳く。肉体美...というには少し違うが、人々の技と力で10トンもある山鉾を辻回しする姿は圧巻だ。
山鉾巡行では、懸想品とそれを構成する山鉾、お囃子、そして人々の力がここに凝集し、複合的な美を生み出しているのではないか。