そんな気持ちをくすぐる
島津製作所の矢嶋会長のお話の中で、もうひとつ印象に残ったこと。それは、社員の働きがいや成長と社会貢献を一体として考えているということ。もちろん、「社会貢献」は多くの企業が謳っていることなので、特別なことではない。でもそれは逆に、誰もが抱いている気持ちなのだろう、そこが気になった。確かに以前、この人が?と思うような人も「人の役に立つ仕事をしたいなぁ」と話していた。誰だって、人の役に立てたときは嬉しい気持ちになる。
行政への市民参加は、そんな人たちの気持ちをくすぐることから始まるのかもしれない。誰もが持っている(かもしれない)そんな気持ちを存分に発揮してもらうこと。それが社会を動かす原動力になる。でも実際は、なかなか表に出して言うことができない。恥ずかしげもなくさらけ出すことのできるひとは少ない。でも、それこそが行政と市民が手をつなぐきっかけをつくることができるのではないか。企業がその活動を生きたものにするために考えることも、行政のそれも、人を動かすうえでは、まったく同じことがいえる。
人を動かす人は、そんな人の気持ちをくすぐり続け、立場を越えて共通の目的を達成できるように人々の思いを集約していく。そんなことができればと思う。