アミニズム信仰を通して
この夏、日本各地を豪雨が襲い、毎週のように水害のニュースが報じられる。その度に、地域の人の「何十年と住んでいるが、こんな雨は初めてだ」という言葉を聴く。乱開発によって造成された新興住宅地では、買ったばかりの住宅が被害を受ける。誰も思いも寄らなかった気候変動は、私たちの生活を度々脅かす。天変地異は、やはり神の仕業か。
日本人の精神性に根付いている神道には必ず神がいて、日本全国の神社にその分霊を祀る。地域の人や観光客が訪れ、掌を合わせて祈りを捧げる。もはや、そこに神が実在しないことなど誰もが承知しているはずなのに、行為としての信仰は今も人々の中に息づいている。
祈りを捧げることの意味は、自分の手の届かない存在に対して畏敬の念を持ち、自らを戒めることであるように感じる。参道を歩く中で、自らの気を清め、神と対峙する。神社に祀られた「ご神体」に神を見いだし、自然の圧倒的な支配力に今さらながら気付かされる。「ご神体」の多くは、水や山や巨木など、いずれも自然の中に見出された神秘的とも言うべき存在だからだ。日本人は、そのアミニズム信仰を通して、自然と共生してきたのだ。