伝統文化を伝えるネットワーク
毎年、随心院で行われる「はねず踊り」の保存会会長との出会いは、今年の1月4日。
「山の神」という伝統行事だった。山裾のご神木のところに地域の人々が集まり、餅を焼いて食べる。神に餅と御神酒を供え、祈りを捧げる。
かつては、京都の山裾の地域では、あちこちで行われていたそうだが、今はほとんど残っていない。
地域の行事のひとつであった「山の神」の文化が薄れていき、コミュニティが崩れていっていることに危機感を示す。山に神聖さを感じ、自然に畏敬の念を持つことは、農耕民族である日本人にとって、根源的な文化である。
この文化を残せるよう、力を合わせよう、とその日は別れた。
今日は、彼の招待で随心院を訪れた。
「はねず踊り」には地域の人たち、観光客らが訪れ、大盛況だった。はねず踊りに続いて演じられた千本ゑんま堂狂言も、多くの人を楽しませた。
「練習をしても発表する場がないとなくなっていくから」と32年前に復興した「はねず踊り」は、今や地域にとってなくてはならない存在だろう。
当日は、地域の人たちが次々に彼に声をかけ、彼は休む暇もなく皆と言葉を交わす。彼の人脈と行動力には、驚かされるばかりだ。
「ネットワークをつくりたいんです」と彼は今日も熱く語ってくれた。
新しい縁が、伝統文化を支える人たちを大きな舞台へ導く。この縁は、新しい展開を生むに違いないと確信する。