ものを通じた縁
私はお金を使うときは、この人にお金を払うんだ、ということを強く意識するようにしている。ただほしいものを手に入れるために、何気なくお金を出すのではない。私が払うお金がこの人の生活を支えること、その人の提供するサービスや物品にそれ相当の価値があることを確かめる。そしてそれらをクリアして、この売買行為が自分自身を満足させることが大切。
今から8年ほど前、私のお金の使い方について、考え方を変えるできごとがあった。
京都ものづくり塾で活動し始めたばかりの頃、くりすたるあーとの林氏に僕の携帯に絵を描いてもらったことだ。次々に機種変更をしてしまう携帯電話に、決して安くない額で友禅職人に絵を描いてもらうこと。それは今までにないお金の使い方だった。でもこれが、林氏をはじめとする職人の方々との縁を作り始める機会となった。下記サイトには、今もその携帯は掲載されている。
http://www5.ocn.ne.jp/~cristal/keitai.html
きっと、京都を支えてきた職人の世界の仕事は、もの(仕事)とお金のバランス感覚を生み、人どうしの縁と信頼関係を育んできたのだろう。お金は、欲を満たすためにただ使うものではなく、ものを通じて縁をつくる道具でもあるのだ。その商品を手にしたり、身につけることでその人の一部を共有し、自分の糧にする。そんなふうにお金の使い方を選んで、自分の人生を豊かにしていきたいものだ。