2007年8月26日

伝統産業の観光文化的価値の創造

8/24(土)、第1回「京都ものづくり講座」が四条京町家にて行われた。
次代の京都を考える者が伝統産業の過去と現在を学び、未来に繋げていくための学びの場だ。京都ものづくり塾の中核事業として新たに立ち上げた。この場を通して、ものづくり塾のメンバのこれまでの活動を通して蓄えた知のストックを多くの人と共有する。今回は、「文化と経済から見る京都のものづくり」と題して、代表の滋野がプレゼンテーションを行った。

その中では、文化的価値には、「観光文化」としての側面について触れていた。ここ数年、「観光」には国や自治体が力を入れて新しい地域の活力の源と考えられ、学問としても注目され始めている。近年の観光は、これまでの見学のみを中心としたスタイルから、さらに踏み込んだ体験型に移行しつつある。一方、伝統産業は、産業としては存続が危ぶまれる中、それ自体が存在することで「固有価値」を有していると見方もある。

それを、自分の話に投影する。私が今住んでいる町家と両親が支えてきた西陣織工場。これを通して思いを実現することができるとしたら、この場でものづくりをしながら、観光客に対してその知識と文化をリアルに伝えることではないかと思う。これをいかにして持続可能な形として構築するかがこれからの課題だ。

2007年8月18日

五山に抱かれて


8月16日、私は今年もボランティアとして参加させていただき、点火の瞬間を大文字山で迎えさせていただくことができた。仕事を終えて、山の中腹で静かに点火の時を待つ。西山に陽が落ち、涼しい風が吹き始める。適度な緊張感とともに、街に徐々に灯りがつき始めるのを眺める。極上の時間だ。

大文字山から眺めるとよく分かるとおり、この街を囲む山々はいずれも低く、なだらかな稜線はやさしい印象を与える。送り火の行われる五山は東、北、西に点在し、まるでこの街は五山に抱かれるようだ。五山すべてに点火され、その下界に溶け合う市内の夜景は、まさに幻想的。

山の向こうにある「あの世」に自分のご先祖様たちをお送りすることは、今の自分を支える生きとし生けるすべてのものに感謝することでもある。明日からまた生きていこう。この街は、そんなことを強く感じさせてくれる。

2007年8月12日

大文字山の草刈


8月16日の「五山の送り火」(みなさん、間違っても「大文字焼き」とは言わないように!)を前に、直前の日曜は、大文字ボランティアの一員として火床の草刈りをする。50カ所以上もある火床の周りに、背丈ほどもある草が生い茂っている。火の延焼を防止するために、それをみんなの手で刈り取っていく。

この日の仕事は、私にとっては1年で一番しんどい仕事だ。炎天下の山で、ひたすら鎌を持って草を刈り続けける。朝10時頃から始まる作業は、休憩を挟みながらお昼過ぎまで続く。かぶれなどのおそれがあるので、長袖長ズボン、首に手ぬぐいを巻いて完全防備で臨む。本当に暑い。

でも、今日の仕事があるからこそ、16日の点火は爽快だ。夕暮れ見ながら、静かに夜8時の点火を待つ。京都の町を一望できる場所から他の全ての四山を眺める送り火鑑賞は格別だ。

関係者が口を酸っぱくするほど話しているとおり、送り火はご先祖をお見送りする行事だ。みなさん、送り火を見て、合掌することを忘れぬように。