2006年10月22日

西陣の現在2006 「肌で感じる職人の技と心意気」


西陣夢まつり(西陣織工業組合様主催)に合わせて行われている各工程の工房を見学するミニツアーを組み、職人の方々に直接お話を伺い、西陣織のできあがるまでのプロセスと職人の方々の仕事にかける心意気を学んだ。
まず、帯のデザインとなる紋意匠を作成する工房を訪問した。紋意匠は、いわば帯の設計図である。デザインの善し悪しだけでなく、使用する色数、生産コストなど後々のすべての工程に影響を及ぼす。方眼紙の1ドットは、織物の一越である。そのドットを組み合わせ、美しくも複雑多岐な文様を生みだす。
次に訪れたのは綜絖の工程。織機の心臓部分となる。織物で最も重要ともいえる組織を決める。夏物には夏物の、冬物には冬物の組織がある。織機の経糸を一本一本通していく作業は本当に気が遠くなるような作業だ。
そして、糸染めの工程。染料を使い、色彩を自由自在に操る。工房内には、その職人の方が染められた糸が飾られている。
最後に、織屋さんで織り工場を拝見した。織るといっても、独自の風合いを出すために、様々な工夫が施されている。それでいて生産性を求められるその奥深さと厳しさに、皆驚きの色を隠せないでいた。
まちぐるみで、様々な工程が複雑に連携しながらものづくりをしているということ、職人仕事の奥深さを伝えることができたと思う。

西陣の現在2006 「五感で味わう西陣の空気 」


9/30(土)、「西陣の現在2006」の第1回目として、まちの姿を参加者のみなさんと一緒に観察した。
織工場の見学、町家カフェで町家の再生事例を知り、町並を眺めながら、路地の間から時折聞こえてくる機音に耳を傾けた。ギャラリーで完成された西陣織の美を堪能し、最後には、親しくしている職人の方を訪問した。彼の西陣への思いを含め、まちづくりの様々な活動のお話を聞かせていただくことができた。
参加者たちは、「外から見ていると入りにくいが、一歩踏み入れるととってもオープン」と西陣に親しみを持って話してくれた。西陣はその地域内で産業が完結しているから、村のような環境とも言われている。
でもそんな産業を支える職人の方たちは、やはり60代以上がほとんど。私が小学生の頃、西陣織に従事する家庭は半数程度だったが、おそらく新しい世代がこの仕事を従事していることは希だ。西陣織というものが、今の小学生には、どのように映るのか。
今のうちにやらなければならないこと、今でなければ知ることができないことをこのシリーズを通して考える。新しい展開を生むことを願って。